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fluency heuristic と familiarity heuristic について

1:Matahari:

2018/10/20 (Sat) 09:40:22

TOMO さん、Tea さん

段落 ⑦ の最後の文章中の 「the familiarity heuristic」 と、段落 ⑧ 中の 「the fluency heuristic」はいずれも精神医学/心理学の分野で使用されている専門用語で、fluency heuristic は通常、「流暢性ヒューリスティック」と呼ばれているようです。私は心理学の専門家ではありませんので、両者の定義の詳しい相違内容を論じることは差し控えますが、例会前の予習段階で感じました事も含めて、本件に関する私の考え、意見を以下に述べさせて頂きます。

1.Oct. 16付け書き込みにて TOMO さんが述べておられるご意見は理解できます。なぜなら、私も Oct. 18 の例会前の予習段階において、TOMO さんと同じ様に、段落 ⑧ にて論じられている fluency heuristic と、その直前の段落 ⑦ の最後で論じられている familiarity heuristic は結局は同じことではないだろうか? と言う疑問を感じました。理由は、TOMO さんも述べておられる通り、次のような記述があるからです。

① 直前の段落 ⑦ の終わりの文章に、familiarity heuristic の記述がある ― これの同格的説明として ,(カンマ)our tendency to assume that if something is familiar, it must be good and safe 「馴染みのある事物を当てにする人間の傾向 [性向]」という説明がある。
② 段落 ⑧ 中のfluency heuristic の記述には、その同格的説明として、―
,(カンマ)our tendency to believe things we’ve been exposed to in the past 「過去に目にした[触れてきた]事物を信じてしまう人間の傾向[性向]」
と言う説明がある。

― 結局、段落をまたぐこの2者の並列的説明文を見る限りでは、familiarity heuristic と fluency heuristic は同じこと(物)と考えても良いのではないだろうか?、familiarity heuristic を fluency heuristic に言い換えて説明しただけかも?、と感じました。(TOMO さんも同じような印象を受けられたのではないでしょうか。)

そのように感じていた時に、TOMO さんの Oct.16 付けのサイト書き込みのご意見が目に飛び込んできました。その TOMO さんの書き込みに啓発され、再度前後の段落やネットの関連情報を読み直して調べてみました。
そして良く考えてみますと、実は、下記理由より、2者を同じようなこと(物)、あるいは言い換えと解釈するには、文脈から言ってもなんとなく不自然な感じもするなー、と感じて例会に出席していました。

① 段落 ⑦ にて述べられた familiarity heuristic と同じこと(物)を、再度名称を変えて fluency heuristic として段落 ⑧ で述べるようなくどいことはしないのではなかろうか?
② familiarity heuristic の事と fluency heuristic の事が言わば並列的に述べられているにも拘らず、familiarity heuristic と fluency heuristic が実質的に同じ意味 or 同じ内容と言うのはちょっと不自然だし、心理学における専門用語である familiarity heuristic と fluency heuristic が同じ意味 or 同じ内容であると解釈するのはどうもすっきりしないなー、と感じつつ、両者の詳しい定義とその専門的内容を詳しく調べる事は怠っていました。

③ familiarity heuristic と fluency heuristic は、どちらも heuristic の一種であるので、共通する点があるはずである。一方、ヒューリスティックにはいくつかの種類があるので、各々異なった点(事、物)もあるはずである。段落 ⑦ で familiarity heuristic の説明をし、段落 ⑧ でそれと並列的に fluency heuristic の説明をしているのは、両者には異なった点もあるからであろう。

④ この記事のwriter であるKaty Steinmetz は コロンビア大学、ミズーリ大学大学院出身の TIME 誌のインテリ女性記者であり、fluency heuristic が何たるかの専門的な意味を承知せずに間違った記事を書くとは思えません。その辺のことはよく調べて記事を書いているはずであろう。

結論としての私の考え・意見は下記の通りです。

① 仮に出版目的の翻訳であれば、 writerに確認すべきケースだと思います。writer に確認しないで、「この記事はwriter の原稿の間違いである。」断定してしまうのは、早計だと思います。
writer は、fluency heuristic の専門的な意味は承知していて、つまるところ、fluency heuristic は familiarity heuristic と通じるところがあると判断し、意図的にこの用語を使ったのではないかと推測します。だから、familiarity heuristic と同様の解釈でも構わない」と言う writer の意向もありうると愚考します。仮に writer に問い合わせをしても、「翻訳では言葉を補って妥当な文章にしてほしい」と writer は答えるかも知れません。あるいは、「読者の解釈にお任せします」 と言われるかも知れませんね。

② 私達読者としては、 writer の意図は把握し切れないので、どちらの解釈でもいいのではないか、という気もします。

それにしても、TOMO さんの今回の問題提起をされた翻訳態度はさすがだと思います。尊敬します。出版目的の翻訳であれば、絶対にTOMO さんがおっしゃったその手順は外せないと思うからです。

但し、私達、アマチュアの翻訳勉強会としては、本件、記事の英文に忠実に訳すべきだと思います。元の原稿が間違っているからと言って writer に確認しないで勝手に変えてしまうと、TOMO さんが言われている通り、誤訳になってしまいますから。

③ Tea さんのご意見はreasonable であり、同感です。その可能性が高いと思います。
fluency heuristic の部分の記述が writer の間違いである可能性は低いと愚考します。

以上、私見です。    Matahari

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